楽天という会社がホントにすごいと思い知らされたのは、全く何もなかったその場所に楽天市場と言う巨大なショッピングモールを作り上げたことであり、そして楽天ブランドが着実に構築されてきたことです。もちろんタイミング的に最高の時期に参入できたこともありますが、オープン当初から軌道に乗るまでの考えられないような営業攻勢は、今やらなくていつやるんだ的な猛烈的な感じを受けました。ちなみに、私はちょうど楽天が楽天市場を始めた頃に東京で某ネット系ベンチャーに就職したのですが、当時の会社の社長は「あんなもの、全然すごくない」とか言ってたのが記憶にあります。確かに当時は誰もがそういう感想を持っていたはずです、なんせ大手がネットショッピングに参入して軒並み不調が伝えられた時期でもありましたから。
で、楽天市場てのはECサイト構築ASP(RMS)という文字面から受け取れるイメージとは裏腹に、ありえないくらい巧妙に仕掛けられた利用者(一般客)の囲い込み機能であり、お店の利用者をそのお店にのみならず楽天市場の利用者としてリピーター確保システムでもあります。楽天市場は単なるECサイト構築ASPじゃなくって、楽天市場と言う巨大モールへの出店をすることができるものであり、ECサイトの仕組みのみならずお客までついてくる、というブランドを着々と作り上げた結果、現在の地位があるわけです。
でも、実は私がそれ以上にすごいなと感じさせられているのは、お客さん側じゃなくって出展者側の囲い込みです。うちの会社が楽天ビジネスに出店している関係(正確には出店していたプロトレードが楽天に買収された)で、結構昔から楽天の出店者としてこの会社を見ているんですが、年に一回行なわれる新年会は年々熱気を帯びてきてます。お店の表彰とかをするんですけど、すごい勢いでその受賞自体がブランドになりつつあるようです。楽天に出店されてる方の中には、名刺に『楽天市場出店』とか書かれていたり。楽天に出店しているだけでブランド、その楽天の中で賞を受賞した日にはそりゃあんたって感じですよ。下手な資格試験なんかより圧倒的にはくが付くって状況になりつつあるわけです。で、受賞できなかったお店は頑張ろうと思うし、受賞したお店も来年も死守、って考えるわけですよね。もー、これは明らかに仕組まれています。でも、すごい仕組みだと正直に感心しています。
で、やっとライブドアデパートの話。たぶん、最初に語った品物を買う顧客向けの仕組みってのはいくらでも真似できると思うんですけど、出展者側のサポート力って言うのが、正直楽天とは雲泥の差です。昨年秋にちょっと出店を目論んで説明会に参加したのですが、あまりにできてない部分が多いのとふざけたサポートを受けたのにうんざりでした(ちなみに、諸事情で出店はしていません)。後に株主総会でそのあたりの話を追求されて、社長が担当者に総会中に直接指示を出したりしていましたが。
よく、ライブドアは顧客無視とか言われていますけど、確かにそれは当たってる部分もあります。昨年私も大騒ぎしたブログの著作権の問題もそうだし、ライブドア証券なんかはホントにシャレになってなかったようです(かなりましになっているとのことですが)。でもね、今回の顧客は普通の顧客じゃないんですよ、顧客でもありライブドアデパートの営業的役割を果たす人達なんですよね。ここの扱いを一回間違えるとホントに厄介です。私もハ]ウリというお店をやってて、お客さんと出展者(オーナーと呼んでいます)さんの違いというか、どういった対応を取るかで本当に悩みました。そして、皆さんにかなり不快な思いをさせてしまいました。それだけに、ここはより一層のサポート体制とそのサポートを単なるサポートではなく営業戦略に転換できる仕組みを考えていただければと考えております。
今回のライブドアデパート大賞っていうのが、どこまで深く考えられて実施されたものかは見当がつきません。楽天が大賞とかのコンテストをやっていることの裏側を理解した上で、顧客のみならず出店者の囲い込みをしていかないと、楽天を追い抜くことは難しいと思います。