ぱぎる症候群

 子どもって2歳を過ぎるくらいから、急激にいろいろな言葉を覚え始めて加速度的に会話が出来るようになってくるんですよ。面白いなー、とか思っていたのですが、どうしても正しく覚えられない単語があることに気づきました。そのうちの一つが『ぱぎる』です。

 『ぱぎる』というのは『たべる』のつもりで本人は使っているようで、「ごはん、ぱぎる」とか「あまいの、ぱぎる」等々、あたかも『ぱぎる』と言うのが正しいのではないかと思うほど、自然に使っていました。

 で、正しい音というか言葉に矯正を試みました。

「ぱぎる、じゃないよ、たべるだよ」


『ぱぎる、だよー』


「ちがうよ、たべるだよ」


『ぱぎる!』

埒があきません、、、。それでは、1音ずつ覚えさせようと思い、試みました。

「た」


『た!』


「べ」


『べ!』


「る」


『る!!』

1音ずつだったら、言えるじゃないか! ここで単語にチャレンジ!

「たべる!」


『ぱぎる!!!』

うっ、、、

「た・べ・る!」


『ぱ・ぎ・るっっ!!』

ギャフンですよ、ええ、それはもう。そして、よくよく会話を聞いてみると、ただ単に『ぱぎる』といっているだけではなかったのです。

(動物園で何かを食べている動物を見て)

『なんか、ぱぎてる』


(ご飯を食べないので、食べなさい!とうながすと)

『ごはん、ぱぎない』


(始めての食材に対して)

『ぱぎれない、ぱーぎれないっ!』

なんでしょうこれは、、、そういう病気か何かなんでしょうか? 思わず検索エンジンで『ぱぎる症候群』とか検索しますがなんにもヒットしません。おーまいがーー、これはなんなのさ? あへぇいっふーー!!

 そんなやりとりを何度か試していたのですが、半年くらい直らないのでもう諦めていたわけです。ああ、もう、この子は一生『ぱぎる』と言い続けてしまうのだろうか、、、。


 が、いや、しかし、転機は突然やってきたのです。今年の夏、いや初夏になってから、突如『ぱぎる』ではなく『たべる』と言えるようになったのです。きっかけがなんだったのかわからなかったのですが、それに気づいたのは、灼熱のサーキット、そう、あれはたぶん富士スピードウェイで聞いた一言だったような気がします。

「あついねー、かき氷食べようか?」


『かきごおり、たべる!』

たぶん、これがうちの子どもの『たべる』デビューだったと思われます。ちなみに、その日はなぜかかき氷は準備されておらず、ソフトクリームを食べることになってしまったのです。

『かきごおりが、たべたいよー』

それ以降、『ぱぎる』とは言わなくなったと記憶しています。

 というわけで、私が勝手に妄想していた【ぱぎる症候群】は2歳半で卒業しました。めでたしめでたし。