色々仕事を片付けていて、ホテルから外出したのは19:30。あいにくの梅雨空で雨が降りしきる中、30分かけて目的地であるTEMAS 先斗町に向かった。先斗町というと如何にも京都といったイメージがあるが、そのイメージに違わない雰囲気でそのお店はあった。初めて入った六角のお店とも、先日入った四条のお店とも全く違う雰囲気。元々着物屋さんだった店舗を、見事にTEMASに染め上げた素晴らしいお店だった。
お店は2階建て、15平米前後の狭い店内に魅力的な黒の作品が並ぶ。これまでに見たことのない商品も多く尋ねると、「ここにしか出してない品物も多いです、一点ものもありますからね」とのこと。当初の目的は、小さめのショルダーバックだったのでいくつか見させてもらった。最初に目についた商品は手に取ってみると明らかに女性向け。もう一点を手に取ってみると、シンプルなシェイプに鮮やかな朱の染め。話を聞いてみると、それは朱色ではなく桜の染料で染めているとのこと。色濃く見えるのはTeMaSの黒と合わせているため、確かに鞄を開けると裏側には鮮やかな桜色がみてとれる。シンプルさも気に入り、このショルダーバックを購入することにした。ちなみにお値段は16,000円前後。
これまで鞄のようなものにこだわったことは一度としてなかったのだが、このTeMaSとの出会いはそれまでの考えを覆すのに十分な衝撃だった。黒は美しい、TEMASのWebにも掲載されているが、彼らの黒へのこだわりは尋常ではない。
京の都の黒ブランドという意識。伝統的な和の技術やデザインを現代に活かしたいという想い。そこから発した、京黒紋付染との感性の交わり。京黒紋付染が、黒のみを染め黒ければ黒いほど価値があるという京都伝統の黒であるならば、TEMASはその黒をも取り込み、京都の黒ブランドとしてのさらに揺るぎないアイデンティティを確立する。不変でありながら進化を続ける、黒を手にしながら黒を追い求める・・・それが矛盾ではなく真理として、TEMASというブランドを加速させる。
そのこだわりは細部に至る。商品を入れる、ショッピングバックももちろん黒。ポイントカードだって黒なのだ。
そんなTEMASには京都に来るたびに何か一点買うことにしている。次京都に来るのは9月。次回の来店時に何を買うかはまだ決めていない。今回の来店で見たノートパソコン用のパソコンバックを買いたいと思うが、9月までお店に残っているかが一番の悩みだ。