もう、この本に出会って何年経つだろうか。色々な人間に読ませ、そして自分自身も何度となく読み返している。この本から得たものは少なくなく、時に自分の生き方を肯定してくれる。
この本はかつて本田技研工業が運営するテクニランドに入社、鈴鹿サーキットのディスプレイデザインに携わった著者 稲垣謙治が、当時のホンダというブランドに関わり経験した出来事を誰もが理解しやすいスタイルで記述した書籍である。
この書籍で扱われている内容は、一般的に知られているホンダと本田宗一郎、そして一般的には知られていないホンダの陰の立役者である藤沢武夫や、著者の周りで光を放っていた多くの人々が見せたリアルな振る舞いだ。一般的な経営書や指南書では小難しく書かれる彼らの行動も、この書籍では端的にそして理解しやすい描かれ方をしているのが特徴だ。本田宗一郎を通してホンダという企業に興味を持っている人間は必読の書と言えるだろう。半分ほどは本当に下らないエピソードだ、しかし、その下らないエピソードに隠れている何かを見つけることが出来れば、この書籍を本当に活用できると言えるだろう。