レジ

 レジで並ぶのが嫌いである。
 まー、レジに限らず並ぶことは本当に嫌いであり、それは人生を無駄に過ごしている瞬間だと信念にしているくらいだ。昨年のF1日本グランプリなんて地獄以外の何物でもなかった、、、。ライブだってわざわざ並ぶくらいなら、最後に入って空間の最後尾で酒を飲みながらゆったりと見た方がましだという生き様だ。

 で、レジの列の話しだ。レジではまずチェッカーのスペックを推測する、人生経験で養われた判断力で、もたつき度数が30を越えるチェッカーの列を排除、次いでチェッカーのスペック順に列に並ぶ客の数及びそれぞれのスペックを判断する。多くの場合、高齢になればなるほどもたつき度数が高まると判断して間違いない(子供はのぞく)。これらの総合評価に基づき、私はレジに並ぶ列を決定するのである。

 先ほどスーパーでレジに並んだ際も、これらのアルゴリズムに基づき並ぶ列を決定した。チェッカーのスペックはそれほど高くないと判断したが、並んでいる客が20代と判断、また1名であることもその列に並んだ判断基準だ。私の計算では、25秒後に私の会計が始まると推測していた。しかし、そこで私の推論エンジンが全く予想だにしない行動にこの客は出たのだ。

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 全てのチェックが終わり、レジには合計金額が表示されている。しかし、彼女はおもむろにカゴの中から商品を取りだし、チェッカーに返品を依頼する(+20sec)。そして、チェッカーはそれの返品(減額)処理を行う(+15sec)。そして、これで全てが終わると考えていた私は信じられない光景を目にする。またもや、彼女はカゴの中を漁り始め、鶏肉と思しき商品をチェッカーに返すではないか(+20sec)。ガッデーム! これはどんな罰なんだ! 空いた隣のレジに次の客がなだれ込む。精神状態を統一するためには、周りに惑わされず今目の前で起きている光景によって、私が後どの程度人生において無駄な時間を消費しなくてはならないかを推測するのみだ[+0.005sec]。そして私は残り時間が25sec±3secと推測した。

 そして、再びチェッカーは返品処理を行う(+12sec)。おお、二回目の返品処理で3secの行動改善が見ることができたぞ→エンジンの学習[+0.001sec]。どうやら、これで彼女は支払いに応じるようだ、彼女がお金をチェッカーに渡し(+5sec)、チェッカーが彼女におつりを渡す(+5sec)。既に、彼女のカゴの中には買い物袋が入れられている、これで終わりだ全てが終わりなんだ。しかし、今度はチェッカーが予想外の動きに出たのだ。

 「すみませーん」、スタッフを呼ぶチェッカーの女性。返品商品が生肉であったこともあり、その商品を一刻も早く元あった冷蔵ケースに戻すべく、彼女は適切な行動を開始したのだ(+10sec)。しかし、スタッフは来ない、あきらめて私のレジ処理を開始しようとするチェッカーだったが、そこにタイミング悪くスタッフが遅れて駆けつけた。チェッカーはスタッフに商品を渡し終えた(+10sec)。そして、正規の手続きに復帰したのだった、、、。

 97sec、なんなんだこの時間は1分37秒といえば、2006年の鈴鹿サーキットで行われたF1日本グランプリの予選ポールタイム1'28.954(M.シューマッハ Ferrari 248 F1)より遅いじゃないか!! なんてことだ、周回遅れってのがこんなに差を付けられてしまうものだったのか。このレジに並んでしまったばかりに、俺は周回遅れになってしまったのか、、、ああ、周回遅れ。俺に振られるフラッグはブルーフラッグだけだ、、、。いや、ブルーフラッグは振らせない、俺に振ることが出来るフラッグはブラックフラッグだけだ! マンセル万歳!*1 って、ここでレジを突っ切ったら確実に捕まります。

 なので、レジに並ぶのは嫌いです(無茶苦茶)。






*1 1989年第13戦ポルトガルGPでは、ピット逆走(フェラーリのピットを通りすぎてしまった為にバック走行、レギュレーション違反)の後の黒旗(失格を意味する)を3周にわたって無視(本人は、逆光で旗が見えなかったと弁明)、最終的にアイルトン・セナと第一コーナーの飛び込みで接触事故を起こし、出場停止を受ける一幕も。失格しながらも走行を続け接触事故を起こし、しかも相手がギリギリの所でチャンピオン争いに踏みとどまっていたセナだったこともあり、この接触はかなりの波紋を呼んだ。
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