21.大学における電子メールサービスのアウトソーシング [パネル討論]

21.大学における電子メールサービスのアウトソーシング
コーディネータ:中村素典(国立情報学研)
パネリスト:松村芳樹(一橋大)・井村保(中部学院大)・下園幸一(鹿児島大)

・大学における電子メールシステムの運用管理を取り巻く状況の変化
・予算削減
・環境問題対策
・定員削減
・ユーザーサポートのコスト増
・求められるサービス水準の上昇
・情報セキュリティポリシーの導入

・アウトソーシングサービスの登場
・Google Apps Education Edition 2006.10 一橋大学
・Windows Live@edu 2007.4 鹿児島大学
・Yahoo!メール Academic Edition 2007.12 中部学院大学

・それぞれのサービスを利用している3大学から

・各大学の事例紹介
・以前のシステムの概要、問題点
・アウトソーシングの検討にあたっての課題
・実際に導入したアウトソーシングの形態、導入に伴う変化
・解決された課題、残された課題、新たな課題

・GoogleApps 導入について
・一橋大学
・4学部4430名、大学院2046名、経済研究所

・学内のメールサービス
・総合情報処理センター、教育・研究用メール、2008.4から学生だけGoogleAppsに移行
・事務局・事務部、事業用メール、一般職員
・研究科・研究所

・これまでのメールシステム
・1994年、研究用WSでSMTPを運用開始、希望者のみユーザ登録、100名程度
・1999年、教養系PC演習室を統合、全学生がサービス対象に8000ID
・2003年、専用サーバに移行、WebMail(courier-imap+Active!mail)、LDAP認証統合、SPAM増、サーバ負荷増
・2006年、サーバ更新
・2007年、qmail → Postfix
・2008年、学生分(7200ID)をGoogleAppsへ

・既存システムの問題点
・インフラ化によるユーザの期待と現実の乖離、保守時間、夜間休日の障害対応
・SPAMによるqueueの増加とストレージの圧迫
・UIやマニュアルの整備が追いつかない、社会科学系のユーザに分かるもの、多言語化
・技術継承の問題
・上記問題をお金で解決できない、アプライアンス・ホスティングだと1ID=200-500円/月、今できてるのになぜ新たな費用が発生するんだ!!

・メールサービスに対する要件
・自ドメインが使える
・他システムとおなじID・PW
・SPAM対応
・インタフェースの充実
・無停止
・追加経費無し

・GoogleAppsの利点
・Provisioning APIによるユーザ管理
・他言語UI
・SPAMフィルタ
・Google Documents, Calendar
・Education Editionならこれらの機能が当面無料
・2007年には海外でサービスが具体化していた、日大も導入していた

・導入までのスケジュール
・2007年6月からはじめる

・GoogleApps導入の懸念
・広告の表示、Education Editionは表示しなくてもよい
・利用動向をマーケティングに転用されること
・その他、規定が合衆国連邦法に基づいている点、某国の情報統制に荷担しているGoogleは云々かんぬん

・古いメールデータの移行
・旧Maildir→演習質PCのメーラー(Thunderbird・Outlook)→Google Email Updater→GoogleApps、これを各自にやらせた

・認証系連携
・WebUIでパスワード変更とかをしたときに、GoogleApps側にも反映

・利用実績
・登録対象7200ID

・GoogleApps導入効果
・メールボックスの増量、200MB→7GB
・メール利用相談件数の減少
・法廷電気点検中も稼働
・いまのところ賞賛も苦情もあまり聞かれない

・新たな課題
・ログが取れない、クラウドコンピューティングの弱点
・障害発生に関する情報がない、、、
・気がつけば仕様変更、、、
・無償サービスが終了したらどうする、、、

・これまでに発生した問題
・1部のプロバイダでgoogle.comが引けない、4/28 1時間程度、大学からの接続が全滅
・某MLサービスからメールが届かないことがある、SPAMがらみで同時接続制限?
・共有PCで他人のGmailが読めてしまう、利用者に周知徹底ですな
・今、某国にいるのだがGoogleAppsに繋がらない、、、オリンピック前後、、、

・今後の展開
・教職員への展開
・リテラシーの問題、成績やパスワードのやりとりが平気で、、、、研究用途に限定すればすぐにでもホスティング可能、有償サービスも含めて検討すべき
・卒業生への展開
・国際的研究拠点に貢献、ユーザー管理はどうしよう?


・Yahoo!メールAcademic Editionの導入について
・中部学院大学
・岐阜県
・関キャンパス、各務原キャンパス
・1997年開学、その前は短大
・当時はSINET:64kbps/専用線
・2001年1.5M、2004年100Mx2
・キャンパス間専用線、100M
・2008年学生1800人、職員250人
・岐阜情報スーパーハイウェイ(SHW)、岐阜県が敷設した光ファイバーを無償で

・メール環境
・1997年、UNIXサーバ(POP/SMTP)教職員対象
・1999年、学生対象、Windowsサーバ
・2004年、Webmail対応化、教職員・学生対象
・2006年から2007年:アウトソーシング、教職員 Mail Luck!、学生対象 Yahoo!メールAE

・アウトソーシングの背景
・落雷による停電・瞬電が多い
・専門的な技術職員が不在で、維持管理が大変
・利用頻度増加で、サービス停止が困難な状況
・受信容量の大規模化、高機能なサーバ、、、対応に多額の費用が必要

・以前のシステム概要
・Sebdmailサーバ、年度初めにアカウント作成
・ファイルサーバ、メールボックス5MB
・Active!Mail 2003の追加

・今回のリプレースにおける検討
・現状の問題点
・容量が少ない
・メール転送が不可、確実に学生への連携を行う事への対応が必要
・ネットワークのメンテナンスや障害時にサービス停止

・アウトソーシングにおける検討課題
・サービス停止の回避
・運用コスト削減
・セキュリティ
・使いやすさ

・Yahoo!メールからの提案
・学生の個人情報をあらかじめ提出が不要
・所定の手続き後のみ利用可能
・メールデータを二重で保護
・フリーメールとは別にYahoo!メールAE提供用システムを構築して運用
・無料

・アクティベーションの仕組み
・IDは連携、パスワードは個別で設定
・Webでユーザ認証→アクティベーション

・移行スケジュール
・ドメインを全面切り替え
・サーバ切り替え前1ヶ月
・DNS切り替えによるサーバ変更
・旧サーバを、保管用として暫定維持

・改善点
・メール容量が5MBから1GBへ、容量を気にすることなく、メールシステムの設置・維持費が大幅に削減
・メール転送が可能に、携帯電話へのメール受信通知なども可能、通知するメールのフィルタリングも可能
・ASPで24時間365日サーバ管理されるため、サービス停止が基本的には発生しない

・利用状況
・YahooのWebサイトからもログイン可能
・現在は通学生の未利用対象、960人
・アクティベーション情報は毎晩通知
・今後は通信教育課程への配布を行う予定、ActiveDirectory連携がネック

・その他、改善点、課題
・担当者負担の軽減、業者対応等が不要、パスワード再発行対応不要
・携帯アドレス変更時に、通知アドレス更新を忘れ、着信通知が不達になったり、学生は携帯アドレスを簡単に変更しちまう
・アクティベーション完了前はメールが受信されない
・Yahoo!IDを既に持ってる人は、別のIDを持たなきゃいけない、逆におなじインタフェースを使ってる弊害か?


・鹿児島大学学術情報基盤センター「生涯メールサービスについて」
・Windows Live@Edu

・既存の環境
・入学時に全学生にセンター利用証を配布
・学部生9400名、大学院生1800名
・センター利用証で利用できるサービス、センター管轄のPC、センター提供のメールサービス、オープンネットワーク
・Webメールサービス、Active!mail2003を利用、ほとんどの学生が「情報活用基礎」授業で利用する
・50MB、POP、メールエイリアス、転送可能
・卒業後1ヶ月で全削除

・既存環境の問題点
・運用上、大規模なファイルサーバとメールサーバが必要
・メール処理の遅延
・システム更新時の移行が煩雑

・新メールサービスに愛する要求
・大規模な容量
・Webメール、多言語対応
・センター利用証とのID連携
・大学独自のドメインが利用可能
・携帯電話からの利用
・耐高負荷
・卒業後も利用可能

・Windows Live@Edu
・独自ドメインでマイクロソフト社が提供し画居る各種サービスを無償で提供
・メール、スケジュール、メッセンジャー、ブログ、ネットワークフォルダ、モバイル、お知らせ、ドキュメント共有、SNSみたいなやつ

・生涯メールサービスの運用方針
・センター利用証IDとの連携
・メールドメイン名は@kadai.jp
・入学時から卒業後も利用可能
・卒業生に対して定期的に大学の情報を提供

・独自のロゴとメニューを追加
・広告欄がない

・システムの構築
・Microsoft ILM2007に夜ID連携
・学生以外は広告が付く
・情報は鹿児島大からMSへの一方通行

・パスワード連携
・センター利用証に初期パスワード記載
・PC利用とWindows Live利用時の初期パスワードは同一
・変更後パスワード、PCとWindow Liveパスワードは連携しない

・運用状況
・2008年3月卒業生と、2008年4月~の在学生が利用可能
・利用統計は取れていない、マイクロソフトに要望は出してる
・使い方などに関する問い合わせもほぼ無い
・生涯などに愛するマイクロソフト社のサポート、毎日のようにメールが来る
・2009年1月末までには、既存のメールシステムが利用できる、そっちを使ってるのかなぁ
・2008年4月入学生は利用している(はず)

・問題点
・Windows Live Hotmail自体
・電子メールの転送設定を行うと、メールサーバ側に残らない
・ID作成後180日以内に利用者による初期設定が行われないと、メールボックスが削除される
・360日間利用がないとメールボックスが削除、卒業生は180日
・運用上の問題
・卒業生が「パスワードを忘れた」と行ってきたときの対応
・卒業→入学の際のIDの継続

・今後の課題
・利用者任意のメールアドレスを利用できるようにする
・既存メールサーバからの移行の促進
・Hotmail以外のサービスの利用促進
・ポータルサイトなど、センターシステムとの融合


・他のサービスの検討は?
・鹿児島大学:Googleのサービスはみんな使ってるんじゃないか? とか、メール以外のサービスが魅力的だった

Q.後ろ向き的な選択のような気が、、、執行部にどんなプレッシャーをかけるのか?
A.一橋:これからの課題、、、説明して分かってもらう前に、執行部が変わってしまうかも
 中部学院:就職活動の際にyahoo.co.jpよりはac.jpからのメールの方がいい、今はその段階
 鹿児島:動いてる、位の認識。卒業生に対するコネクションがあるというのが大きい

Q.もうちょっといいソリューションを誰か作ってないかなぁ? っていうか、みんなで作っちゃったらどうだろう、xxxのあたりをなんとかして、ぶつぶつ、、、
A.、、、(まとめるのが大変そう)

金沢大学の大野先生が激しい提言を、、、っていうか、ここに来てる先生方、すさまじいなって、よく考えたら中村先生って中村素典先生じゃん、、、神様みたいなー