スーパー・エコ・カー「エリーカプロジェクト」

 東京商工会議所で【スーパー・エコ・カー「エリーカプロジェクト」について】という講演会があった。講演をしたのは慶應義塾大学の清水教授。ツイートは以下から。

【スーパー・エコ・カー「エリーカプロジェクト」について】の俺岩(Tweet)

個人的に電気自動車についてはそれほど興味がなかったんだけど、昨年のホンダF1撤退からのモータースポーツの流れを考えると、モータースポーツが率先して電気動力に移行することが一つのカギなんじゃないかと思ったわけです。


 で、エリーカの話し。8輪で最高速度370km/hってどんな車じゃ、とか思っていたのですが、清水教授の話を聞いて色々なことが氷解しました。

 一つは、何故電気自動車にすべきかということ。
 内燃機関は19世紀に発明されて、それを21世紀でも使い続けていることがそもそもおかしい、、、みたいな話しから、電気自動車に必要な技術である【リチウムイオン電池・永久磁石モーター・高性能インバーター】が普及可能になったという話しまで。ちょっと気になったのは電気自体の生成についてで、「陸地の1.5%を利用した太陽発電」ってそれ凄まじく広大じゃないのか?

 もう一つは、エリーカで採用された電気自動車自体の技術の話しで、下記の3点について説明がありました。

・インホイールモーター: 車輪にモーターを挿入
         → 高効率化・軽量化・有効空間拡大化
・コンポーネントビルトイン式フレーム: 電池・インバーター・コントローラーを床下に収納
         → 軽量化・定住進化・有効空間拡大化
・タンデムホイールサスペンション: 二つの車輪のバネ系が油圧パイプで結合
         → 乗り心地向上・コーナーリング速度向上・有効空間拡大化

ちょっと文字にしちゃうと分かり辛いんだけど、何枚かの写真が提示されて8輪になった理由なんかもハッキリと理解できました。モーターとか目茶苦茶でかいモーターなんじゃないか? とか思ったんだけど、ホイールの内部に位置してて8コもついてるからそんな巨大でもないんだよね。


 次に、ガソリン車との性能の比較について。ここではポルシェ911ターボと比較をしていたのですが、最初こそポルシェの方が加速が優れていたけど、ギヤチェンジをするたびに加速度合いが低くなって、4秒前後でエリーカの方が高速になる。モーターなのでギヤチェンジが無いってのが大きいね。あと、ポルシェはプロドライバー(誰かは不明)なのに対して、エリーカは清水先生がドライブ、清水先生は単純にベタ踏みだったみたいだけど、それでもちゃんとホイールスピンとかせずに加速できるんだって。まー、モーターの場合はエンジンに比べれば制御がしやすいだろうからねぇ。
 まー、最新のレースカーとかだともんすごく電子制御まみれでまた違う結果になりそうなんだけど、電気自動車にそこまでの性能を持たせなくてもいいよなぁ。その点について、清水先生は「実用的には100km/hで十分。ただ、一般的に最高速度=単純な性能を知りたがる。実用的かどうかはおいておいて、最高速度について電気自動車の性能の良さを分かってもらいたい」とか言ってました。


 最後に普及の話し。
 ココまでクローズアップされたのは、昨年の原油高騰がきっかけでもあるそうです。新技術に既存の技術が置き換わる例として、デジカメや携帯電話などは7年で普及しており、また価格の面でも10倍生産されると価格は半分になるとか。
 本当は清水先生が中心になってやろうとしたけど、自動車メーカーとの共同開発の話しは全然進まず。様々な助言から、電気自動車の普及に特化する形でSIM-Drive設立、技術の普及をオープンソースの発想で行う(そうだ)。この講演自体、東京商工会議所の工業部会が主催だったので、参加者にプロジェクトの参画を募っていました。


 ココまでの話しで単純に電気自動車が普及しまくるとか、モータースポーツも電気自動車のカテゴリに置き換わるなんてことは思わないわけですが、モータースポーツの一つの役割として電気自動車で限界性能を求めるってのもいいんじゃないかとは思いました。エンジンに全く敵わないのだったら悲しいけど、清水先生の試作段階でココまで性能があるんだったら試してみるのもいいんじゃないかなぁって思いました。

 開発にかかるメーカーの負荷ってすごいモノになるとは思うんだけど、それ自体は必ずや市販車に活かされるし、それ以前にモータースポーツが再考されるきっかけになるんじゃないかと思うんですよね。そんな単純じゃないかもしれないけど、是非とも各メーカーの皆さんに検討してもらいたいと思いました。あ、メーカーだけじゃダメだ、プロモーターの皆さんも。って、その前にプリウスvsインサイトカップをやってもらいたい(電気自動車じゃないじゃん)。