儚い

藤田さんの件はなんだかあまり実感がわかなかったけど、だんだんその衝撃が自分の中で大きくなってきた。

5日前に東京から遠く離れた三重県で会話をして同じレースを観ていた、その出来事と藤田さんが亡くなってしまった事実との整合性がとれない。いくつになっても人の死というのは極めて困難な出来事だ。

正直、8月以降の自分は本当にきつい状態が続いていた。仕事がきついのはどうしようもないことなのだが、今のこの仕事をして生きている自分の状態に大きな疑問符がつき始めてしまっていたのだ。それでも、今ある仕事をこなすことを優先させてきた。多くの人たちに多大なる迷惑をかけながらも、その仕事は完了に向かっていたはずだった。

仕事とは別に、自分にとって切っても切り離せない物、そうF1日本グランプリがあったのは先週のことだ。先週の金曜日は、午前中に藤田さんとお会いして貸していたチケットを受け取り20周年の鈴鹿に向かっていた。自分とF1との衝撃の出会いの場所だったF2指定席。思い返せば、自分とF1との関わりが始まったのは、もう13年も前のことになる。そんな、あまりに多くのことが詰まった鈴鹿、今年限りで引退してしまうミハエルのラストランの幕切れは儚かった。チャンピオン争いの結末は儚かった。
毎年のことだけど、鈴鹿が終わるとしばらくは魂が抜けたような状態になってしまう。特に今年で鈴鹿でのF1開催がひとまず終了と言うこともあり、これまでにないような魂の抜け方だった。

ブログもmixiもしばらくは近づかず、仕事をしよう。そう思ってはいたのだが、どうしても藤田さんの状態が気になりmixiの藤田さんのログイン状態を毎日チェックしていた。鈴鹿後に入院することは聞いていたから、しばらくログインはできないだろうと考えていた。1日数回、仕事に忙殺される中、それだけのためにmixiをチェックするようになっていた。そんな仕事も、来週には終わる。いろいろなことが終わって、これからのことを考えよう、これからの生き方を考えよう、そう考えていた矢先に藤田さんの訃報を知った。もはや、儚いという言葉では言い表せない感情がいま押し寄せている。

来週、今の仕事が終わったらどうなるのだろう。しばらく、考えることもできないかもしれない。プライベートもビジネスも、思いもよらないほど先が見えなくなってしまっている。

あ、そういえば、藤田さんに肝心なことを聞き忘れたよ。
「藤田さんはどのチームのファンなんですか?」
藤田さんはどのような答えを返してきただろう。たぶん、私が考えていることとは異なる回答だったんだろうなぁ。