なんだか、Yahoo! Japanの検索でブログを検索結果から排除することができるフィルターが実装されたと、ここで知りました。で、まぁ、そのこと自体はやる可能性は十分あるのだろうなぁと思ったわけですが、ひらたさんの反応がはっきりしていたことに感じるものがありました。
もう一度書きますが、ブログフィルターには反対です。ブログは個人の声を直接的に伝えるメディアとして、マスメディアにはできないことができるメディアとして、ますます重要となっていくでしょう。たしかに、ひとつひとつのブログの内容はこのブログと同様、大した内容ではないのかもしれませんし、スパムブログの問題もあります。しかし、ブログかブログでないか、そんなルールで特定のウェブサイトを排除するのではなく、良質の検索結果を出力するために、検索クエリーに対して相応しい内容かどうかでスコアリングするのがよいと思います。
Yahoo! Japan の検索にブログフィルター@dh's memoranda
長めの引用で恐縮ですが、最後の部分が全てだと思います。Yahoo! Japanの言っていることもわからなくはありません。デフォルトでブログが対象から外されてしまうわけでもありませんし、そのフィルターを選択する権利はユーザにあります。ただ、検索スキルっていうかその辺りのリテラシーが高くない方にとって、「ブログは除外」という選択を容易にできることはよくないと思います。ひらたさんも指摘されていますが、確かに有用なものもそうでないものも混ざっています。だからといって、全てを排除してしまうのはよくないと言うより「もったいない」と言った感覚でしょうか。
先日の言語処理学会で、このネットでものを探すという流れはまだまだ進化していくと確信しました。Googleの登場でネット検索については完成、とか思ったりした時期もありましたが、言語処理的には実はまだまだできることはたくさんあるのです。昨年の言語処理学会に比べて今年の言語処理学会はその点でも流れが変った感がありました。検索キーワードっていうか検索文をちゃんと理解することもそうだし、GoogleでもYahooでも始めていますけど検索キーワードからさらに知りたいものを予測する(検索要求の想起支援にむけて[鳥澤先生.JAIST]、アオブダイの話は衝撃的だった...)技術とか、ネット検索の進化を予感させる研究がいろいろ進められているようです。その点から考えても、ノイズが多いブログだから全てを削除してしまう、そんな選択は「もったいない」と言い切れるでしょうね。
もちろん、Yahoo! Japanだって色々考えての上のことだと思います。言語処理学会のワークショップの最後のディスカッションにもYahoo! Japanの方がパネラーで出ていましたが、それこそあらゆる研究を進められているようです。ちょっと詳しくは書けませんが(書かない方がよいでしょう)、Yahoo! Japanにとってブログに対する検索は、まだじっくりと時間をかけて扱いたい領域なんだろうと思いました。
完全に私の推測になってしまいますが、今回のブログフィルタリングの機能追加については、ライバル会社との差別化を意識しているのではないでしょうか? 昨年末頃からブログ&検索がらみで危惧しているものに、特定キーワードによる広告リンク(一般ブロガーのアフィリエイトもの、ある程度のPageRankを持つサイトへの個別依頼)があります。先日も、ある会社さんがアフィリエイトとして特定キーワードでのリンクを実施されたのですが、効果覿面で1週間ほどでそのキーワードでの検索結果のトップに表示されました。そのことにもちろん広告業界も早々と気づいたようで、うちの別のお客様のサイトや弊社のブログランキングサイトにまで、特定キーワードによる広告リンクの依頼が来ました。お金で検索結果を買う行為、GoogleやYahoo!そしてMSNはそれらについてどのような回答をするのか。もしかしたらYahoo!Japanの今回の機能追加は、そのことに対する回答のうちの一つなのかもしれません。
ちょっと長くなってしまいましたが、この辺りのお話については私の専門領域でもありますので識者の皆さんと意見と交わしてみたいと思います。
トラバ対象:
Yahoo! Japan の検索にブログフィルター@dh's memoranda
ヤフー、検索結果からブログを省く「ブログフィルタ」機能追加@CNET Japan
くろだ
早速のコメントありがとうございます。
この件についてはちょっとまだ考えがまとまっていないのですが、Yahoo! Japanがその機能をつけたことについて、ひらたさんのように意見を表明することは重要ですよね。Yahoo! Japanにしても他社にしても、ユーザの意見はかなりまじめにチェックしていますからね。
ひらた
ご意見ありがとうございます。
確かに Pay per Post 的なサービスによるブログの氾濫も一因にあると思います。各社のブログ検索技術もまだまだ進化の途上でしょうから、今後の展開にも期待しています。