【つぶやき分析の可能性~ビッグデータを使った報道の試み】
2013.2.20 17:15-18:05
昨年12月の衆院選をめぐり、朝日新聞はツイッターのつぶやきををビッグデータとして分析し、その結果を選挙期間中や選挙後、連続して報道した。批評家の濱野智史氏には企画段階から関わってもらい、ウェブ上のビジュアル化の際にも濱野氏が所属する日本技芸の技術協力によって「ツリーマップ」を開発し、ビッグデータの可視化に挑戦した。ソーシャルメディアと現実社会が密接にリンクしていることは、AKB総選挙などを通じて確認されていた。選挙という大規模な舞台においても、ツイッター上の動きと投開票とは少なからずの関係があることが実証された。AKB総選挙時からソーシャルメディアの影響力に注目していた濱野氏に、報道などでのソーシャルメディアの活用について解説してもらう。衆院選で試みたビッグデータ分析の報道について濱野氏に振り返ってもらい、担当記者と議論を深める。
http://www.asahi.com/special/billiomedia/
[Speakers]
濱野 智史
リサーチャー
日本技芸
@hamano_satoshi
奥山 晶二郎
記者
朝日新聞
@o98mas
竹下 隆一郎
記者
朝日新聞
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※私的に取ったメモですので、内容については一切保証しません
濱野:
・衆院選のツイッター分析を朝日新聞から依頼された
・ビリオメディア、ツリーマップを使用して、ツイッターの分析を表した、インフォグラフィックス。ツイッター中に漂う選挙中の世論を分析
・つぶやき分析の背景・意義・可能性について社会学的な観点から考察
・ソーシャルメディア分析の意義:一般的な文脈だと、マーケティング活用。マスメディア報道の観点から見ると、世の中の動きを調べ伝える。これまでは世論調査だったが、新たな世論の動きを知る手立てとしてソーシャルメディア分析が使えるのでは
・ソーシャルメディアと新たな「世論」形成&噴出:アラブの春、ウォール街選挙デモ、官邸前反原発デモ。ソーシャルモブズの誕生? ソーシャルメディア普及以降、世界上で同じような状況が観察される
・SIPS:ソーシャルメディア世代の新しい生活者消費行動モデル。リアルの現場、オフ会のようなノリでデモに参加
・SIPSの最たる成功例としてのAKB:ちょっといいな→推しメンの情報収集→推しメンを応援(握手会、選挙、ゲーム)→おまえらも推してくれーーー
・マスメディア報道のImplications:メディア的に無視できない状況に。参加共感してみないとピンと来ない、はまってみないとわからない。代表者がいない、動員者もいない
・公共圏論:マスメディア登場以前と以後で公共圏が異なる。かつてはサロン的なものに人が集まり議論していた。今はマスメディアが一斉同報で公共的に知られる情報を通知
・電子公共圏:ネットで市民が双方的に議論、かつてのサロンがオンラインで行われる
・ただし、電子公共圏はメディアとの対立軸ではなく、マスメディアとソーシャルメディアの共棲モデルが必要とされているのでは
・そんな狙いの中での分析結果をディスカッション
竹下:
・今回の企画の経緯人背景について、通常は経済記者
・TreeMapによる可視化、単純にカッコいいなと思ったのがきっかけ
・女子高生やキャバ嬢のツイートは面白い。政治的なことを喋っているイメージではないけど、実は背景は政治問題に繋がっている内容が多い、待機児童の問題とか非正規用の問題など
奥山:濱野さんに話しを持って行ったのは自分
濱野:
・ぶっちゃけ2週間くらいで突貫工事でしたが、、、政策に関するつぶやきと、政党に関するつぶやきからTreeMapを作成した
・アルゴリズム的には確立されている
・ウォールストリートジャーナルの株価のTreeMap。全体を俯瞰するのが難しいものを可視化
・なぜTreeMapか:ネット世論は移ろいやすいという仮説、ならばぱっと見て俯瞰できることが重要なのでは、ソーシャルメディアの世論の可視化に利用
奥山:バブルチャート、政策についての関心を可視化
竹下:政党政治、政教区報道の反応は大きい。政策を取り上げてもらいたいと言われるが、政局についての話しの方が反応が大きい
濱野:
・政党にはポジネガ判定をしている、政策は解析上の問題があり精度が下がるので取り入れなかった
・分析していると政策よりも、政党に関する話題の方が反応がおおい
竹下:ツイートを見たが、政策については意見の賛否がわかりにくい、しかし政党は賛否がはっきりしている
濱野:ツイッターだけでは社会全体を切り取ることはできない
竹下:TreeMapの四角をクリックしたらツイートが全部出るようにできればよかった。参議院選挙までにツールが必要なのでは
奥山:試行錯誤で作成した、参院選についてどんな感じで解析したらいいのか
濱野:日常的に確認できるようにしたい、解釈をユーザ側が行うことができる、市民も参加できることが政治的な成熟をもたらすのでは。政治以外でも使いたい
竹下:朝ご飯のツリーマップとか、ごはん派・パン派、どこで食べているか
濱野:どうでもいいもので使ってみると、本質を見ることができる
奥山:食べたものをアップするだけのハッシュタグ、政治は堅いけどご飯ネタで間口を拡げる
質問:ビオメディア、知ったのが一ヶ月前、まだまだ知られていないけどどのように広めるか
奥山:ソーシャルメディア側への露出、堅い話だけでなく
竹下:質問者がツイッターで拡げてください。広めるのは難しい、反省点でもありますね
濱野:記者のプライベート的な情報を出したりしたら、大々的なキャンペーンは反感を招くかも
質問:ツイッター上の世論と呼ばれるもの、ほとんどは既存メディアのRT、そのあたりはどのように分析しているか
奥山:公式RTをどのように扱うのか議論があったが、今回は含めることにした。公式RTも世論の現れととらえた。正解かどうかわからないので、調査方法・キーワード設定・ポジネガ判定は全て公開している
竹下:140字なので独自な視点を盛り込むことは難しい。RTは意思の表れ、政治に監視を持った瞬間と考え含めた
質問:ソーシャルメディア上のデータを分析のネックはテキストマイニング、政策のネガポジは断念したとのことだが、今後も単純に数字をカウントすべきか。それともネガポジを判定すべきか?
濱野:ネガポジ判定は微妙。今回については行う必要は無いと考えている。実際日本語の文脈解析は難しい
質問:津田さんのゼゼヒヒははっきりしている
濱野:途中で意見が変わるということを観測できない、議論の結果意見が変わることが重要なので
質問:テーマを読者に読ませることと、ソーシャルメディアを使うこと、ウェイトはどんな感じだったのか。ソーシャルメディアを使うことに寄っていたような気がするが
奥山:社内でも方法が先行しているとの指摘はあった。マイニングの限界、響くテーマそうでないテーマ、今後に活かせれば
竹下:ツイッターでいろいろ絡まれた。個人的には何年前からもやっている、このくらいで凄いというのはどうかと思う。ただ、一般紙で扱うことに意義がある。手法か内容かは迷ったが、いろいろな人を巻き込んでやれたのは面白い。次回は普段のツイートが投票行動にどのような影響があるのか、変化などを取材できればと思う
濱野:ツイッターの分析は入り口、どんどん面白いメディアになると思う。
竹下:どんなことが面白いと思いますか
濱野:意見が変わることが面白い、民主主義の参加を刺激できると面白い