【ソーシャルで変わるか政治】
2013.2.20 15:30-16:50
自民圧勝となった年末の衆院選。ソーシャルでも、政策をめぐり、さまざまな議論が起きた。参院選に向け「ネット選挙解禁」の話も出るなか、ソーシャルメディアが政治に、どんな変化をもたらすのか。マスメディアの政治報道は変化するのか。など、これからの時代に、求められる政治(政策)報道、について議論していただく。
[Speakers]
津田 大介
ジャーナリスト
星 浩
オピニオン編集長
朝日新聞
林 尚行
政治部記者
朝日新聞
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※私的に取ったメモですので、内容については一切保証しません
林:
・首相官邸キャップ、首相官邸担当で12人いる
・安倍内閣のソーシャルメディアの使い方、積極的、野心的に使用している
・ジョギングの写真をFacebookにアップ、このようなことが日常茶飯事。総理の動静を24時間ウォッチしているが、私邸ということもあり、ちょっと離れたところにいたら見失ってしまった。戻ってきたときにやっと一言聞けた
・取材対象者本人が情報発信をしてしまう
・政治取材の二元化。番記者、従来型。ソーシャルメディア多様の中、公開取材、しかし十分対応しきれていない
・朝日官邸というツイッターアカウントを開設、東日本大震災前に。東日本大震災の情報を逐次流す。現在フォロワー4万人超
・朝日新聞霞クラブ、外務省、防衛省中心
津田:
・ネットと政治の距離が近くなった、ジャスミン革命以降
・首相官邸前デモ、ソーシャルメディア中心に広がった
・アメリカ大統領選挙、Four more years.
・ディベートに対するツイートの解析で、ツイッターが世論の可視化装置に
・日本政治が抱えている課題:機能不全に陥りがちな国会、与党と内閣のねじれ、衆参のねじれ、野党の執拗な攻撃、短命政権。先の見えない政治課題も。
・小選挙区制による弊害、1/4得票したに過ぎない政党が4年間政権、民主党敗北と二大政党制問題お顕在、死に票・一票の格差、健全な第三極の必要性・メディアの問題、政策より政局。よい政策が報じられず減点法、どうせ投票しても変わらないというあきらめの意識
・ウェブで政治は動くのか、ソーシャルメディアのユーザーは確実に増えている5060万人が閲覧し、3090万人が書き込みも行っている
・官邸デモを知ったきっかけ:20万人を動員した6月29日のデータ。ツイッター37%,Web20%,クチコミ18%,Fb10%,テレビ4%,団体告知3%,新聞2%,そのほか6%
・動員の革命は起きたが、、、新聞の世論調査を見てみると、景気・雇用対策-社会保障-原発問題。ネットの世論調査、朝日新聞の「政策に関するツイート調査」原発-安全保障-経済-憲法-TPP-格差。ただし、これは言及した数なので厳密に新聞の興味がある項目とは異なる
・ニコ割アンケート、k経済の立て直し-外交・防衛-消費増税-教育再生
・新聞の世論調査≓ネットの世論調査、経済対策、社会保障・消費税、原発・エネルギー、国防・外交
・民意をどのように伝えるか:無意識民主主義、激安の機能制限版普及型政治参加パッケージを容易
・ネットと政治の関わり方:ビッグデータと政治(世論傾向や論点をつかむ)、リアルタイムパブコメ(審議中政策の情報公開しリアルタイムにコメントを集める)、バーチャルロビーイング、政策に対するクラウドファンディング(個人献金、議連など)
・ネット選挙の可能性
林
・鳩山ツイッターの登場で、より政治家がネットを使うだろうと思わせた。自民党は政権を失い、復権をかけネットに活路を見いだした
・ツイッターで公務員制度改革に関わる閣議決定のことを何人かの議員がやりとりしていたけど、具体的に何かをアクションするには至らなかった。フォロワーがたくさんいるのだから、一歩踏み込んで世論を動かせばまた違う形になったのに
・自民党、カフェスタ、政策決定に意味をなしたのかと言われると
星:消費増税議論をネットを使って深めることはなかった、政策決定に対する課題は
津田:行政仕分けのライブストリーミング、くだらない書き込みも多いけど中には意味があるコメントも多い。それらを拾って、会場内で質問を投げかけた。バーチャルな仕分け人を作り出すことができた
星:強い意見に流されがちにならないか? ネットと意見の集約
津田:強い意見に流れる傾向もあるけど、今までだったら社会の中心にはないはずの意見がどんどん出てくるようになっただけでは。全体的に極端な意見も増えてきている
星:審議会のネット公開、今後はどのような展開に
津田:2006年の著作権の審議会参加から興味を持った。官僚は優秀、作る資料を読むと納得してしまう。でも、ちょっと引っかかることがある。そこに気づくのは官僚、官僚出身議員、もしくはその分野のスペシャリスト。霞ヶ関的な文脈を読み解いて、示すことが重要。トピックメーカーの役割をメディア側に果たしてもらいたい。マスメディアとネットの対立なんてない、連携というか役割分担が進んでいる
星:ネット選挙解禁について
林:安倍さんが12月26日に夏の参院選での解禁を目指すと発言。しかし、実際に法律を変えるとなると大変。自民党内でもネガティブな反応が出ており、今週金曜日の妥結が困難な情勢。政治家自身もどこまでやったらいいのかわかっていない。自民党が政権に戻り、おじーちゃんたちの発言力が強まる、政党内の世代間抗争の情勢
星:
・政治家の政策解説の能力が問われる。自分の主張をいかに伝えることができるか。集会の告知すらできなかったが、人がこれまで以上にそういう場に足を運ぶことになる。
・ネット選挙の先にある、献金が普及すると政治の状況はかなり変わる。アメリカの大統領選挙の予備選で、オバマとヒラリーが争っていた。ヒラリーが優勢だった、献金もかなり集まっていた。オバマはネットの小口献金が少しずつ集まりはじめ、後半はヒラリーを上回ってしまった。ネット献金にも注目したい
津田:
・ネット選挙のメリット:「3ばん(地盤・看板・鞄)」に頼らない議員の誕生、選挙のコストを下げる(紙を減らす)、公示期間中時間をかけて有権者が議員を選ぶことができる(ツイッターなどで質問するようなことも)、政見放送や政策についての議論をオンデマンドで、「動員力」を生かした街頭演説会の告知、個人献金の増加と団体献金廃止
・ネット選挙のデメリット:PR合戦によるコスト増の懸念(高齢者にリーチするためには紙も必要、PR戦略のためにはプロの力が必要)、ネガティブキャンペーンとなりすまし問題、新たなポピュリズムにつながる可能性
星:最後に一言、政治報道とネットについて
林:審議会を丸裸にする、記者は持ち場が変わってしまう、担当の間に調べ尽くし、それを伝えたい
星:ネットがいろいろな問題を突きつけている、既得権をさらし問題点の改善のあり方を見せることが必要になる
津田:政局よりも政策報道を増やして欲しい。が、政局をもっとわかりやすく伝えてもらいたい。こんなに人の好き嫌いで動くものなのかと。人物相関図のようなものを示しながら、わかりやすく政局も伝えてもらいたい。データジャーナリズム、NYTimesが行ったオバマとロムニーの政策に関する言及回数を比較したもの。インフォグラフィックスでわかりやすく、どのように言及しているのか明示できる仕組みを実装している
質問:ニコニコ動画の仕分け放送を審議会に応用するのが難しいのは、ネットのコメントを拾い上げるような人間がいるのだろうか
津田:確かに、それができる人がいない。討論型世論調査にはファシリテーターがいる。ファシリテーターの訓練プログラムがある、同様にツイートを拾って分析するメソッドを作り、トレーニングを行う。そういうことをやりたい人はボランティアでいるはず。中立性を破るような人は、第三者から指摘されてしまうだろう
質問:ソーシャルメディアを誰が教えればよいのか。その役割を新聞社にお願いしたいがどうか
津田:ぜひ、朝日新聞さんにお金を出してもらい作って頂きたいですね。あと、その手の話しに無手いる人を出世させてください
星:人事の件は上に伝えておきます(笑。メディアの役割はどんどん変わっている、新聞社のNPO化も個人的には必要なのかもしれない
質問:ソーシャルネットワークにいるモンスター的なユーザへの対処について
津田:一番簡単のはブロック、ただ自分は使っていない、メディア側にいる人間なので。話してもしょうが無い人は無視するしかない。議論にならない方は1回だけ返事する、フォロワーへの意思表示。半年もすれば飽きてくるはずだから。あれ、蝉がなきやんだなみたいな風物詩として感じればいい
林:最初の頃は読むに堪えない罵声を浴びせられた。発信情報の基準を作り、担当の若手に素直に愚直に書き続けることで、応援してくれる人たちが増えてくる、これ以上心強いことはない。確かに、罵声を浴びせてくる人たちはいますけど、まあ、風物詩ですよね(笑
津田:モンスターフォロワーやネット右翼的な人たちは重なっている。そういう人たちは馬鹿か暇人な人、ただ、ツイッター時代だとそんな人たちにフォロワーはつかない。相手のペースにつられて声を荒げたりしないように