高校生と過ごした、下北沢の夏【featuring 陽佳】「福島県立大沼高等学校演劇部東京公演 『シュレーディンガーの猫 ~Our Last Question~』」

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 もう、この話題、福島県立大沼高等学校 演劇部『シュレーディンガーの猫 ~OUR LAST QUESTION~』については終わりにしたつもりだったけど、どうしても書いておきたいことがあったので再度。

 9月8日、そう2020年東京オリンピック開催が決定する5時間前に、福島をずっと見ているTV vol.28「東京に届け 私たちの夏」が放送されました。25分間で彼ら・彼女たちの想いを表現するのは非常に難しいだろう、そう考えていましたが一番伝えてもらいたいことをがっちりと伝える、素晴らしい番組でした。

 が、いや、しかし、25分間という限られた時間のために紹介しきれなかった話があったのも事実なんですよね、、、。

 そんな、この番組で紹介しきれなかった話題に触れておきたい訳です。と、書き始めると全てに触れなきゃいけなくなっちゃうので、唯一絶対にこれは触れておきたいというキャラクターについて。

 陽佳(はるか)、彼女の存在はこのお芝居の本質を物語っています。番組では原発から逃れてきた絵理と弥生を中心とした展開で語られていますが、この2人の存在を際立たせるキャラクターとして陽佳が重要な役割を果たしています。

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 生徒会にも所属し、クラスのみんなのことを温かく見守る陽佳。自ら、ダンス部を創り奮闘している最中、あの震災が起き、そして絵理が転校してきます。絵理はダンスが好きで、陽佳が創ったダンス部に入ります。原発事故から逃れてきた絵理がダンス部に入ったことにより、陽佳のダンス部は突如注目を受けます。結果的に新聞やテレビの取材までもが入ることになり、それはダンス部に対する注目ではなく、絵理に対する注目であることを受け入れざるを得ない陽佳。彼女の葛藤がこのお芝居が持つテーマでもあります。

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 陽佳は明るくはきはきとした、典型的な優等生キャラクターです。先ほども書きましたが、生徒会にも所属しており、クラスの誰もが名前すら知らなかった弥生の存在も気にかけていました。そんな陽佳が、絵理が注目されるにつれ深い悩みに包み込まれます。絵理の注目に対して嫉妬し、それまでの親友関係が崩れます。

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 絵理が単なる転校生、原発事故から逃れて来たのではなく、普通の転校生であったのならこのような問題は発生しなかったのかもしれません。この問題は当事者はもちろんですが、その周囲にも深い影響を与えている、そのことをまざまざと知らされます。そんな陽佳の存在は、やはりこのお芝居で絶対に欠かすことができないと認識せざるを得ませんでした。

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 お芝居の中で弥生が陽佳に対して自分の想いを打ち明けます、陽佳はやはり頼られる存在です。しかし、そんな陽佳がはっとするような言葉を弥生は問いかけます。心と心が通じ合う、陽佳・絵理・弥生、本来で会うはずのなかった3人が出会い、そして生まれた関係がこのお芝居の全てなんだと思います。

 ラストシーン、絵理の質問に対して弥生だけが手を上げ続けます。しかし、絵理が

「同情はいらない」

と問いかけると、絵理と弥生に続き陽佳も手を上げます。3人の気持ちが繋がった瞬間であり、Last Our Questionへ繋がるきっかけでもあります。

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 陽佳の台詞の中で、このような台詞があります。

「同情されるのはイヤ、しつこい男はキライ」

私が、一番好きな彼女の台詞です。彼女の存在なくしてはこのお芝居は語れない、その想いを込め追加でエントリーを書きました。