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2010年3月31日
ツインリンクもてぎ『モビパーク』プレスツアー 【2】
カテゴリ:ツインリンクもてぎ『モビパーク』プレスツアー*ツインリンクもてぎ『モビパーク』プレスツアー 【1】の続きです
レストランからバスで数分、ツインリンクもてぎのちょうど中心にあるモビパークに移動しました。モビパークは、モビリティやものづくりの楽しさを発見・体感できる屋内型体験型施設の「FAN FUN LAB」、3歳の子供から"のりもの"を自分で操ることができる「プッチタウン」、モータースポーツの世界への入り口となる「カートランド」から構成されています。
まずは、『FAN FUN LAB』の中に入り、今回のリニューアルのコンセプトおよび概要を、株式会社モビリティランド テックプロの山上敏樹所長のプレゼンテーションを聞きます。
山上所長は、1983年に武蔵野美術大学 造形学部 芸能デザイン学科を卒業後、(株)モビリティランドの前身である(株)ホンダランドに入社。1984年にテックプロダクションに配属となり、デザイナーとして主にアトラクションIDデザイン(夢を描き基本構想から実施設計まで携わる業務)を担当。1999年からは「コチラのプッチタウン」の開発を手がけ、2007年に多摩テックに異動。2009年9月30日の多摩テック閉園以降は、古巣のテックプロ所長に就任し、2010年3月にリニューアルオープンする鈴鹿サーキット「NEWプッチタウン」、ツインリンクもてぎ「モビパーク」の開発責任者を務めました。
また、山上所長は1999年から「子ども研究」を開始。現代の子どもの抱える問題点や子どもの健全な成長に必要なこと、そして子どもを夢中にさせるなど、母親環境・子ども環境・脳科学からの知見・シュタイナー教育・夢中になる要素抽出などを研究し続けています。
そんな経歴の山上所長の話は、とにもかくにも子どもに対する愛情で溢れていました。
まず、ホンダの2人の創業者である本田宗一郎と藤沢武雄について。藤沢武雄は単なる愛好者のためのレーシングコースを作るのではなく、家族が楽しめる場を作りたい、乗り物のおとぎの国を作ろう、そういう想いを込めて鈴鹿サーキットそして多摩テックを創り出しました。
ディズニーランドなどの人気テーマパークを研究した藤沢武雄は、観るだけではなく、訪れたこどもが主役となる操るアトラクション、それを目指して創り上げました。その施設を山上所長は、自分なりの考えでさらにすばらしい施設へと発展させ、今回の鈴鹿サーキット「NEWプッチタウン」、ツインリンクもてぎ「モビパーク」のオープンを迎えました。
本田宗一郎については数多くの著書で語られていますが、藤沢武雄についての話しはあまり見かけません。私が最も好きなホンダのエピソードについて語られている本で、稲垣謙治さんの『怪物伝説』という本がありますが、この本で紹介されている藤沢武雄のエピソードを見る限り、本田宗一郎とは違う意味で凄まじい人だったことを知ることができます。210のエピソードが掲載されているものすごく読みやすい本なので、気になった方は是非お読みくださいー。
そして、話題は山上所長の「子ども研究」の話しに移ります。今の子どもが抱えている問題点を、現在の子どもの状況や環境から解説をします。
まず、近年の子どもを取り巻く問題は非常に複雑なものになってきているとのこと。以前は子どもの周りにはたくさんの大人がいて、子どもをみんなで育てる環境が整っていた。しかし、現在は子どもに接する大人の数が大幅に減り、母親が接する機会がその大半となってしまっている。母親は子どもについて1人で悩み、そして育児書などに頼る傾向が深く、個性を伸ばすことよりも「いい子」に育てることに専念しがち。結果として、子どもは孤立、もしくは塾通いなどで多忙な状況になっているようです。
昔の子どもはいろいろな外遊びが中心、昔はおもちゃが今ほど多くはなく、自らで遊び方を見つけ出していました。しかし、最近は簡単に子どもにおもちゃを与えてしまい、以前に比べ表現豊かな子どもが減り、また自分から積極的に行動しなくなってしまった。結果的に発想力が欠如し、また、コミュニケーション能力が欠如している子どもが増えている状況。すぐにキレる子ども、ものに当たる子ども、人に暴力をふるう子ども、昔は「やっぱりあの子が」といわれていたが、今は「まさかあの子が」と言われる時代になってしまったとのこと。
それらのことを踏まえた上で山上所長が研究した結果、子どもの健全な成長に必要なものは『家族や友達との外遊び』の実体験が重要だと気づきます。TVやゲームばかりを続けていると、脳の前頭連合野が退化し集中力を失ってしまいます。前頭連合野は「ヒトを人間たらしめている」脳部位であり、外遊びや集団遊びの中から、情動コントロールを育んでゆきます。
東北大学の川島隆太教授による脳のイメージでは、前頭連合野には6つの役割があり、子どもの健全な成長には「自発性」「創造性」「社会性」を育むことが重要であり、それらは脳の発達がほぼ完了する12歳までが勝負とのこと。
これらのことから、こどもには夢中になって『家族や友達との外遊び』をする環境が重要であり、そのために「かんじる(体感)」「きそう(競争)」「まねる(模倣)」「つくる(創造)」といった4つの要素を揃える必要があると考えました。
そのために、ツインリンクもてぎでは、人が生きるための原体験を感じることができる『HELLO WOODS』、モビリティを通して技術の歴史ともの作りへの情熱を感じることができる『Honda Collection Hall』、そして自らが乗って走って楽しめる体感型施設として『モビパーク』を創りだしました。
今回追加されたアトラクションは、オフロード実験マシンの『ACRO-X』、飛行テスト機の『KIDS PILOT』、小回りのきく研究マシンの『QUICK RACER』の3機種。それぞれ、【もっと上手に運転し、協力して高得点をとる】といった観点で創られたアトラクションです。
というわけで、熱い山上所長のプレゼンが終了。正直、こどもに対する愛情があふれていて泣けてきますわ、ええ。自分も小さい子どもを持つ親として、子どもの成長と教育についてもっと真剣に考えないといけないな、と感じました。山上所長、本書いてくれないかな、子どもの教育についての本。マニュアル本じゃなくて、親がいろいろなことを考えるきっかけになる本。
そして、これらの新アトラクションおよびハローウッズ、レーシングカートの体験に続きます。ツインリンクもてぎ『モビパーク』プレスツアー【3】(現在執筆中)に続く。
投稿者 ymkx : 2010年3月31日 10:24 |