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2013年9月 8日

高校生と過ごした、下北沢の夏 【終】「福島県立大沼高等学校演劇部東京公演 『シュレーディンガーの猫 ~Our Last Question~』」

カテゴリ:シュレーディンガーの猫

* 高校生と過ごした、下北沢の夏 【6】「福島県立大沼高等学校演劇部東京公演 『シュレーディンガーの猫 ~Our Last Question~』」の続きです、ラストです

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 千秋楽の翌日の8月19日、私は代々木まで大沼高校演劇部の皆さんを見送りに行きました。ずっと舞台衣装の制服か動きやすいジャージ姿しか見ていなかったので、私服の皆さんはなんだか新鮮。お芝居で使った備品や荷物を積み、部員の皆さんが乗ったバスは会津へと向かいました。見えなくなるまで手を振ってくれてありがとーう!

 高校生と過ごした、下北沢の夏。2013年の夏は、まさにそんな夏になりました。
 

 最初にも書きましたが、5月10日に福島民報に掲載された記事【今を生きる 避難者の思い 舞台に 下北沢(東京)で8月公演 被災者支援団体 橋渡し】を読み、私はこのようにツイートしています。

この記事を読んだ瞬間、自分がこの公演を手伝わなくてはならないと確信したんだよなぁ。なんだか、もうすごく前の話に感じてしまう。そのくらい、今年の夏は長かったです。ちなみに、その流れは自分のツイートを追っかけたまとめがありますので、ご覧頂ければ幸いです。

福島県立大沼高校演劇部東京公演【シュレーディンガーの猫 ~Our Last Question~】 [togetter]

 福島のこと、そう原発問題に起因する様々なことはずっと気にかかっていた。でも、自分が何ができるのか、そして何をしたらいいのか、全く回答は出ていませんでした。
 このお芝居は福島の今を伝えています。福島の今とは言っても、もっと多くの困難な問題を抱えていることは事実です。でも、このお芝居が福島の今を考えるきっかけを与えてくれるはず、そう考え私はこのお芝居を成功させることが、今の自分にできることだと考えました。

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 ラストシーン、絵理がみんなに質問を投げかけます。

「同情はいらない」
「どんなことがあっても負けない」
「それでも、他人には優しくしたい」
「絶対に、忘れない」

舞台にいる8人全員の手が上がります。そして、絵理から最後の質問が投げかけられます。

「うちも弥生ちゃんも、ちゃんと生きていけると思う人」

絵理をはじめとして7人の手が上がりますが、弥生は背を向けうつむいたままです。津波で家族をなくし、原発から逃れてこの地にたどり着き、生きる気力すら失っていた弥生。長い沈黙と葛藤の後、弥生の手が上がったとき、壇上にいる8人だけでなく、観劇している全員が心の中で手を上げ舞台は幕を閉じます。このお芝居を観た全ての人が「絶対に、忘れない」、そう心に誓った瞬間でもあります。

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 このお芝居、「シュレーディンガーの猫」が、なぜ高校演劇東北大会で評価されなかったのか。高校演劇の世界を全く知らない立場ではありますが、そのことについて考えると一つの結論にたどり着きます。高校演劇の世界の評価基準では計ることができなかった、それに尽きるのではないかと考えています。
 大沼高校演劇部は、小劇場の聖地である下北沢での公演を成功させました。高校演劇と小劇場演劇、全く違う世界であり、どちらがどうと言うつもりはありません。ただ、一つ言いたいことは、彼らの芝居が下北沢の地において連日満席であったこと、それだけです。

 願わくば、大沼高校演劇部には『シュレーディンガーの猫』を演じ続けてもらいたいと考えています。震災から2年半、今年演じた中心である3年生は来年はいません。今年の2年生が来年の中心になり、その時の『シュレーディンガーの猫』を演じてもらいたい。再来年も、その次も、、、福島の問題があり続ける限り、このお芝居を演じ続けてもらいたいと想っています、あくまで個人的な意見ですけどね。でも、続けてもらいたいなぁ、、、。あ、次は決まっているんだったね。

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 最後に、自分が大好きなシーンの写真を載っけまーす。シュレーディンガーの猫は、原発事故に影響を受けた高校生の話しが中心ではあります。でも、彼らだって、いつもそのことに捕らわれているわけではありません。いろいろな形の表現がありますが、シュレーディンガーの猫の中で素直に高校生が示した日常として、このシーンが大好きです。や、こんな日常なんて、あり得ないって言えばあり得ないんですけどね。本を書いた佐藤先生が盛り込んだそのシーンが、私は何よりも大好きでした。

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 ありがとう、大沼高校演劇部。これからも、君たちが伝えてくれたことは忘れません、絶対に、、、。



投稿者 ymkx : 2013年9月 8日 00:25 |